ARCHITECTURE
古町の長屋
明治期に建った二軒長屋の一軒をリノベーション。片側は住まれている状況での工事となったため、全体を耐震改修することはできない。そのため、片側の居住部分の耐震要素を調査し不足している耐震性を改修範囲で補う計画とした。また、耐震性の向上のためと、賃貸価格を抑えるために2階部分は減築して平屋にしたのだが、そのままでは片側の既存2階部分だけが残り耐震性が不足するので、改修部分の2階の一部を残して補うこととした。構造においては木造伝統の考え方を用いることで当時の面影を残しつつ過度な補強を避けることが可能になった。
既存の梁をあらわしにしたり、古い建具を再利用するなどして古い建物の雰囲気を残しながら、床は現在の生活スタイルに対してフレキシブルに対応できるようにPタイルを選択した。前庭はブロック塀を取払いもとあった下屋を広げて透明にした。狭い前面道路とあわさることで軒下空間が明るい開かれた場所になる。この建物は100年以上この場所にいるのだが、もう少しここにいてほしいという施主の願いからこのプロジェクトは始まった。潰すことは簡単だが、しかし周囲には似たような古い建物が空家になっていくつも残されている。この建物が古い雰囲気を残したまま生まれ変わることで、そういったまわりの建物がまちの財産と思えるような考えが広がることを願っている。
- 所在地
- 大阪府柏原市
- 主要用途
- 住宅(賃貸)
- 構造設計
- 片岡慎策
- 設計補助
- 森川将雄
- 施工
- 水井工務店
- 主体構造・構法
- 木造・リノベーション
- 規模
- 工事前 地上2階
工事後 平屋+ロフト
- 建築面積
- 工事前 73.11㎡
工事後 56.42㎡
- 延床面積
- 工事前 115.27㎡(1階:73.16㎡ / 2階:42.11㎡)
工事後 66.22㎡ (1階:56.42㎡ / ロフト:9.8㎡)
- 撮影
- 森川将雄