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ARCHITECTURE

泉北ほっとけないネットワーク高齢者支援住宅

「泉北ほっとけないネットワーク」は、大阪府堺市の泉北ニュータウン槇塚台地区における高齢化、建物の老朽化/空室化といった問題に対し、大学と地元のNPO・行政・福祉機関の協同によって構築された地域ネットワークである。地域の人的・物的資源を有効に活用/連携させることで、高齢者などが安心して生活できる環境作りを目指している。コミュニティケア(地域福祉)の視点から、多様で主体的な生活を送るためのインクルーシブなシステムを新しい近隣住区モデルとして提案しており、近所づきあいや顔見知りといった関係からうまれる相互扶助のあり方、家具・住宅・施設・屋外といった具体的な物や空間のあり方を再考している。

本事業は、そのなかで府営団地の空き住宅を「コミュニティケアハウス」へコンバージョンしている。これまでは介護の選択肢として在宅か施設かの2点しかなかった状況に、宿泊可能な「コミュニティケア」の場所を加えることでそれらが切れ目なくつながることを目的としている。「慣れた」環境に住み続けることを第一に考え、近所に点在する空き住戸を活用して人々が生活をオーバーラップさせて互いに支え合うような、近隣分散型のコミュニティケアサービスを構築する。また食健康の拠点として、近隣センター内空き店舗を、配食サービスを伴う「コミュニティレストラン」へとコンバージョンしている。「食」の安全・質を保つ拠点であるとともに、「地域の食卓・リビング」のような場所として機能する。また地域の人材雇用の場となっているほか、月1回の朝市が開かれるなど新たな広がりを見せている。

現在は、空家になった複数の戸建て住宅を高齢者のコミュニティシェアハウスにコンバージョンする計画が進んでいる。子育て世帯や学生など他世代と共に暮らすことで生まれるメリットを最大限に活かすとともに、庭を地域に開くなどして、点在する空家をコミュニティの拠点に転換していくような取り組みを行っている。

所在地
大阪府堺市
主要用途
住宅
構造設計
大阪市立大学居住福祉環境設計チーム
施工
西上建設株式会社
規模
7戸
住居専有面積
40.38~62.70㎡
個室面積
8.10~18.30 ㎡
共有部面積
7.14~40.38 ㎡